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松木 憲司    MATSUKI, Kenji

正会員
左官/三重県四日市

壁はわき役であるため、主張してはいけないと考えています、天井、柱、襖、畳、照明器具、床材、建具などが、壁とうまく調和している建物は美しいですね。これって機能美だと思います、お施主様の趣味趣向による調度品が、さらに息吹を与えます。塗り壁はできるだけ自然な状態で生かしてあげたい。そこにも機能美が生まれてくるのだと。
心技体、古き良きものを大切にしたいと思っています、もちろん伝統左官技術を追い続け、現代民家に左官をつなげていきたい一心です。「伝統は革新の連続」、新しく良いものはどんどん取り入れていますし、常にできる限りの力を出せるように心がけています。
「土は生きている」といつも話します。「世界中、土で建築の様式が決まってきた」ことも。私の屋号の蒼築舎は、蒼は「深く」、築は「積み重ね」、舎は「学びの場」との思いから名付けました。


蒼築舎代表。1963年、両親の出身が関東のため、東京で生まれる。78年、三重県四日市市の親方のもとで修行。年季明け後、独立する。地元の左官職として、竹小舞下地、塗り壁、タイル、組積など施工。
自分自身の想いが、「木と土の家」現代民家と遭遇。将来、解体後も土が廃材とならぬよう、大壁の場合、内外壁の下地材には小幅木摺り板を勧め、施工にあたる。個人住宅の内外装左官工事がもっとも多く、文化財や蔵などの修繕工事、竈の築炉磨き仕上げなども手掛けている。
2007年、プラネットジャパン社の依頼でドイツへ、植田親方と2回にわたりタデラクトの技術を習得。09年、ベトナムにて図書室建設プロジェクトで活動。09、10年、タイにて、タイとラオスにおける伝統的壁画技法の再構築に向けてのネットワークづくり「アジア隣人ネットワーク」で活動。12年、モロッコにてタデラクトの技能及び技術確認をし、土建築を探訪して見聞を広める。また同年、フランス「グランザアトリエ土祭り」へ参加するなど、活動範囲を広げている。

蒼築舎
三重県四日市市楠町北五味塚1430-6
Tel. 059-397-7444 Fax. 059-397-7445
関連サイト:蒼築舎

個人邸(2002年、三重県亀山市)。外壁は、小幅木摺りの上に土佐漆喰の鎧(よろい)仕上げ。内壁は竹木舞いに荒壁をつけ、赤土の切り返しと中塗り仕舞いで仕上げた。また10坪くらいの土間を三和土にしている。
個人邸の座敷の袖壁(2005年、三重県四日市市)。床柱の後ろにある袖壁の円窓に黒檀のような磨きの擬木をまわした。柄も指で刷り込んでいる。漆とは異なる艶を感じる。壁は豊田の黄土の水捏ね仕上げ。
個人邸(2007年、三重県菰野町)。外壁は小幅木摺りにして土佐漆喰。内壁は漆喰で玄関は三和土。物入れや養蚕に使われた2階に小窓のついた、地域では伝統的なスタイルの屋根は、むくり屋根になっている。
個人の別荘(2008年、三重県菰野町)。真壁の下地は竹木舞としている。外壁は土佐漆喰と豊田の黄土の半田仕上げ。内壁は切り返しと漆喰の仕上げ、床は岐阜さび砂利の洗い出しにした。
個人の別荘の竈(2008年、三重県菰野町)。耐火煉瓦で築炉し、白土で塗りまわし油煙を塗って、黒の大津磨きで仕上げた。壁は白土の切り返し。
古民家の改修、黒大津の磨き壁(2009年、三重県津市)。外壁に耐えるように土より石灰のほうが多い。内壁はおもに糊土仕上げ。床は土佐漆喰三和土、厨房には赤タデラクトを使っている。
個人邸(2010年、三重県津市)。小幅木摺り下地に生漆喰で下塗り、黄土の掻き落としは、石灰入れて風化を止めている。ラスやフェルトは使っていない。
個人邸、茶室前の下地窓(2010年、三重県津市)。河川に生える細い女竹を組み、アケビの蔓で巻いた。壁に引き込めるガラスが嵌めてあり、柔らかい光が、菰野町マサ土の掻き落としの壁に注ぐ。