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会員紹介

鈴木 一史
SUZUKI, Hitoshi

正会員
左官 / 神奈川県三浦市
先代の死をきっかけに、左官の仕事を始めました。長男だったので。
いろいろ努力を重ねてきましたが、そんな努力よりも、様々なご縁によって思い込みが崩れ、ステージアップさせていただいてきたなと今までを振り返るとそう感じます。
ここが左官の大きなうねり(流れ)であるように思います。
その大きなうねりの一端をどのように担えるか? がいまの私の興味・関心事です。
テクノロジーの発展により、様々なものが壊され、故に伝統も「新しい出来事」としてとらえられるようになった。
そのように感じています。

そんな時代に、気持ちよく表現できるよう、多くを学び、創り続けたいです。

1975年、神奈川県三浦市にて有限会社左菊の長男として生まれる。現・代表取締役。
地元の町場仕事で経験を積み、講習会や実際の現場で学ばせていただきました。地元に点在する看板建築の修復や、古民家の移築の現場、限界集落での焙炉・かまどつくりや、泥だんごつくりワークショップなど。面白く学びの深い体験をさせていただいています。最近は伝統構法の土壁や、一般的な住宅での糊土仕上げ・漆喰仕上げ・珪藻土仕上げなど。次の10年を考えながら研究しています

有限会社左菊
神奈川県三浦市三崎1-10-6
Tel. 048-882-6460
左菊 -壁創り百年の匠-

内部空間をプラスターボード下地の土壁で仕上げた新築住宅。設計・施工は、神奈川・湘南の工務店、株式会社Y’s。本庄山土の糊土で、繊細な表情に。
銀座のコーヒーショップの内装。設計は鎌倉のデザイン会社、株式会社kusukusu。伝統的な日本の空間を創るために左官壁が採用された。このお店のシンボルである盆栽の背景には黒漆喰、側面の壁は淡路土で中塗り、聚楽土の切り返し仕上げ。
鎌倉のモンブラン専門店の内装。鎌倉のデザイン会社、株式会社kusukusuがプロデュース、設計。モンブランに込めた思いを共有し、テキストからデザインを考えた。壁は白い漆喰で、ホイップをイメージしたパターン仕上げとし、そこに絞り出した栗クリームのライン(モンブライン)を淡路土で表現した。末広がりを意識し、土のラインのリブの本数を3・5・7に。カウンターの下の黒板も左官の黒漆喰。
地元の神奈川県三浦三崎港にある看板建築の修復。看板建築は建物の正面部分のみデコレーションして、文字通り建築自体を看板に見立てた様式。二階前面に洗い出し仕上げで装飾を施した昭和初期の建物で、傷んだり、欠けたりしたパーツを復原した。さまざまな形状の部品をシリコン樹脂で型取りし、洗い出し、張り付けた。赤色はチェリーサンド、グレーの部分は寒水石の御影石風。下部の一列の看板部分は、上部の意匠を参考に新設した。
地元の三浦青年会議所の記念事業で、三崎港バス停をリニューアル。三崎港周辺に点在する看板建築をモチーフにして、観光に訪れる人たちを出迎える。寒水石の洗い出し仕上げで、ボーダーをスパッと真っすぐに通した。
新潟から移築され、別荘として使用されている古民家の左官工事。設計施工は地元の工務店、有限会社クマキ。外壁の漆喰仕上げ、下地は木摺とメタルラス。下塗りのラスモルタルから土中塗りを行い、漆喰押さえ仕上げ。漆喰をきれいに仕上げるために、中塗りに土を用いた。所謂漆喰の王道。
同じ新潟の古民家。ラスボード下地に石膏プラスター中塗りのうえ、漆喰押さえ仕上げとしている。部屋の一部は中塗り土仕上げ。
建築家・日髙仁さんにお誘いいただき、山梨県湯之奥の集落でかつて夜間の寺子屋のように使われていた「夜学舎」で、地元の人や関係者たちと一緒に手揉み製茶の道具を再生した。左は茶葉を蒸す竈(かまど)。右は焙炉(ほいろ)という作業台で、この中で火を起こし、木枠に和紙を張った「助炭(じょたん)」を上に置いて、余熱で茶葉を乾燥させながら揉み込む。
竈(かまど)と焙炉(ほいろ)は土の蓄熱性を利用して、日干し煉瓦を積み上げ、土塗りで仕上げた。日干し煉瓦は、もともと使われていた土に中塗り土などを配合して型で抜き、天日干ししてつくった。写真は仕上げ塗り前の焙炉の内部。
山梨県湯之奥での、竈と焙炉つくりは、非常に思い出深い現場となった。山間で電気がない建物なので日照時間も短く、自然の中で作るモノヅクリを余すことなく味わった。かつて、夜学舎で行われていたであろう、地元集落の方たちのコミュニティに、時間を超えて参加させていただいた気分に。「廃墟」に対する見識が変わった現場でした。
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