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【終了】「石巻の土蔵から見える世界〜齋藤氏庭園土蔵修復の軌跡」 映像を公開中です

水ぬるむ春、切り刻んだ藁を土に入れて寝かせる。
木々が緑で覆われる頃、荒縄を巻き付けた木小舞に荒打ち。
土がよく乾いたら両側に土を塗り、さらに乾かして土を塗る。
合間には縄を伏せ込み、幾重にも土の層を重ねて、壁を厚くしていく。
土が凍る冬は、丸竹から竹釘をつくり、藁を刻むなどして春に備える——。

移りゆく季節のなか、均一でない自然の素材にその都度向かい合い、
過去の職人の声に耳を澄ませながらすすめていく、ふたつの土蔵の改修。
その過程を映像作家の卜部弥生さんが記録したドキュメンタリー「石巻の土蔵から見える世界〜齋藤氏庭園土蔵修復に軌跡」を3月24日(土)〜25日(日)の2日間、当サイト上で公開いたします。

公開期間:2018年3月24日(土)0時〜25日(日)24時

「石巻の土蔵から見える世界〜齋藤氏庭園土蔵修復の軌跡〜」

[ 映像概要 ]
「石巻の土蔵から見える世界〜齋藤氏庭園土蔵修復の軌跡〜」
監督/卜部弥生
協力/齋藤武子、東北大学、東北大学史料館、東北大学附属図書館、東北大学電気通信研究所、東北大学金属材料研究所、吉葉恭行
監修/泉田英雄、公益社団法人日本左官会議、石巻市教育委員会
後援/石巻市、石巻市教育委員会
制作・著作/OndaPRO、公益社団法人日本左官会議
助成/芸術文化振興基金

*複製はお断りいたします。
*映像や土蔵に関してご興味をお持ちの方は、日本左官会議事務局までご連絡ください。


齋藤氏庭園(宮城県石巻市)について

齋藤家は秋田県大仙市の池田家、山形県酒田市の本間家と並び東北三大地主と称される。本家齋藤家7代目の弟である善九郎が分家して桃生郡前谷地村(現石巻市前谷地)に移住、当家の初代当主となった。
明治中期からは九代善右衛門が代議士に選出され政治に進出する一方、農業分野での地域発展や文化興隆にも大きく尽力した。大正期には大負債を抱えた三菱財閥の所有物を負債ごと引き取って立て直し、1500ヘクタールにも届く田畑の獲得も遂げている。また京都の大谷派東本願寺の財政を破産寸前から救ったのも齋藤家であった。
往時は主屋の他にも様々な建物が敷地内に建てられていたが、太平洋戦争後の農地解放、地主制度廃止令を経て広大な土地が取り上げられ、主屋をはじめ幾つかの建物は解体された。現存の建物(木造平屋、寄棟、萱葺)は天保年間(1830~1844年)に建てられたもので、内部は改修され、近隣の遺跡から発掘された土器等を保存展示する宝ヶ峯縄文記念館として公開されている。九代善右衛門が明治後期に造成した庭園は特に素晴らしく、平成17年5月に国の名勝に指定された。邸宅から背後の丘陵地までを借景として一体となり、閑静で清々しい空間が広がる。(参考:市ウェブサイトほか)

齋藤氏庭園土蔵・修理の概要

作図・解説:泉田英雄/博士(工学)、元筑波大学講師

齋藤氏氏庭園内の建物配置図

前土蔵

  • 明治後期に建設されたもので、何度か軽微な修理がなされてきた。
  • 規模は妻入り三間×七間の庇付き、構造は井内石の礎石上に木造二階建て土蔵造とする。屋根は日本瓦葺き、けらば側に二列の風切丸を配する。外側腰壁を版築とし、防犯の用となす。外側壁は全面漆喰仕上げである。
  • 土壁修理工事は平成27年秋から始まり、木小舞掻きの後、古土に新土と苆を練り混ぜ荒壁材料を作り、手打ちによって木小舞に荒壁付けを行った。下げ縄掛け、大直し、縦縄・横縄掛けを経て、現状に至る。

後土蔵

  • 江戸末期に建設されたものと考えられるが、明治中期、軸組を残して屋根と土壁は作り直されている。
  • 規模は平入り二間半×五間の庇付き、構造は井内石の礎石上に木造二階建て土蔵造とする。屋根は日本瓦葺き、けらば側に二列の風切丸を配する。内側腰壁に平板の井内石を回し、防犯の用となす。外側壁は全面なまこ壁とする。
  • 土壁修理工事は平成27年秋から始まり、竹小舞掻き、手打ちによる荒壁付け、大直し3回、横縄及び縦縄入れ共に3回を経て、現状に至る。

齋藤氏庭園前土蔵および後土蔵・左官修理比較表

作成:小林隆男/左官、日本左官会議副議長

前土蔵

部位 以前の状況 現在の状況 今後の予定
屋根 土塗り瓦葺き(土葺き) 土塗り瓦葺き(桟葺き) 終了
鉢巻 不明 木下地巻竹(割竹に麻縄)砂漆喰下塗り 砂漆喰中塗り漆喰上塗り
一部石灰入りの中塗りが認められる(昭和初期修繕?) 木小舞土塗り 手打 縦、横、縦縄入れ 縦、横縄入れ 中塗り、漆喰仕上げ
腰壁 版築下地(桟無し) 桟取り付け版築下地 砂漆喰下塗り、土中塗り黒漆喰仕上げ
水切り 麻紐巻竹、砂漆喰下、中塗り 漆喰仕上げ 施工前 麻紐巻竹、砂漆喰下、中塗り漆喰仕上げ
屋根漆喰 砂漆喰下、中塗り、漆喰上塗り 砂漆喰下塗り 砂漆喰中塗り、漆喰上塗り
窓、扉 黒漆喰面白仕上げ 漆喰レリーフ(持ち送り) 裏側窓白漆喰仕上げ 一部分中塗りまで除去 部分補修
内部壁 漆喰仕上げ 裏返し、中塗り 漆喰仕上げ
内部扉 表中塗り終い 裏塗られず 現状のまま(傷みあり) 不明
内部窓 表漆喰仕上げ 裏塗られず 現状のまま(傷みあり) 不明
[備考]
裏の窓に、窓を仕上げた人の名前有り。19歳と有り。木小舞下地には、防腐の為墨?が塗られていたが今回は処理されず。全てワラビ縄にて編まれ、縦、横縄にも使用されていた。今回は、ワラ縄。小舞は2分縄二本取り。腰壁の版築は内側の化粧板張りの上に15cm厚で施工。土は雄勝、山形。板は防腐のため墨を塗る。高さ約1m65cm。扉の黒漆喰は、ノロ掛けはされているが、磨かれていたかは不明。小舞下地から、一箇所に4本の下げ縄を男結びにて括り付ける。(壁一面の横3箇所ほどに横縄を垂らしその縄に下げ縄、縦縄が入っていたようであるが、確認はできていない)屋根漆喰は、棟瓦、面戸、雀口(白漆喰仕上げ)、敷瓦目地。

後土蔵

部位 以前の状況 現在の状況 今後の予定
屋根 土塗り瓦葺き(土葺き) 土塗り瓦葺き(桟葺き) 終了
鉢巻 一部ラス張りモルタル塗り漆喰仕上げ 木下地巻竹(割竹に麻縄)砂漆喰下塗り 砂漆喰中塗り漆喰上塗り
ナマコ壁 竹小舞土塗り 手打 縦、横、縦縄入れ 中塗り、ナマコ壁
腰壁 ナマコ壁 井内石積み、砂漆喰下塗り、土大直し、村直し 中塗り、ナマコ壁
屋根漆喰 砂漆喰下、中塗り、漆喰上塗り 砂漆喰下塗り 砂漆喰中塗り、漆喰上塗り
窓、扉 黒漆喰面白仕上げ 裏側窓昭和初期に修繕(白漆喰仕上げ) 一部分中塗りまで除去 部分補修
内部壁 漆喰仕上げ 裏返し、中塗り 漆喰仕上げ
内部扉 銅板張り 現状のまま(傷みあり) 不明
内部窓 表漆喰仕上げ 裏塗られず 現状のまま(傷みあり) 不明
[備考]
竹小舞は全て、ワラビ縄で編まれ、柱部分は杉皮が張られていた。今回はワラ縄。竹は折れ釘止め。小舞下地から、一箇所に4本の下げ縄を男結びにて括り付ける。(壁一面の横3箇所ほどに横縄を垂らしその縄に下げ縄、縦縄が入っていた様であるが、確認はできていない)屋根漆喰は、雀口(黒漆喰仕上げ)、敷瓦目地。ナマコ瓦は、土(中塗り)の上に貼り付けられていたようだが、瓦の重みに耐えられず中塗り面より剥落していたようである。ナマコ壁を止めるのに竹釘を使用。全て油抜き。

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