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2020/06/03

「土壁再生ワークショップ」開催のお知らせ

建物修復支援ネットワークの長谷川順一さんからの情報です。

昨年の10月、台風19号により長野市の千曲川では堤防が決壊、広範囲で浸水が発生する事態となりました。これを機に、土蔵や民家の公費解体*がすすんでいます。

*公費解体
災害に遭い半壊以上と判定された被災家屋を、期限を区切って公費により解体すること。被災者の生活再建を支援し、迅速な復旧を図るための特例措置だが、同時多発的に伝統的建造物を消失させることにもつながる。

もともとあまり使われていなかった土蔵などは、残すとなるとお金も労力もかかります。解体やむなしという決断はもっともだと思えます。しかしそれによって、風土と調和してきた景観は失われてしまいます。

長谷川さんによれば、千曲川の破堤した周辺では新型コロナの影響もあって、住民のコミュニケーションも途切れがちで、「公費による解体は、地域によっては一帯が記憶喪失になるくらいの勢いで進んでいる」とのこと。在京の親族との行き来も途絶え、子世代が親元に行けぬ間に、古い建物が壊されてしまったケースも複数あるそうです。

そこで、少しでも建築とその技法を残そうとワークショップが開かれます。

「災害の現場にこそ、繰り返し起こる自然災害にも耐え残り再生できる伝統技術のエッセンスが見える」と長谷川さん。歴史的な建物を後世に残すことには、地域の先人たちの知恵や思いを引き継ぐという大きな意味があります。

信州伝統的建造物保存技術研究会の大工さん、十日町の左官職人さんが指導します。詳しくは下記URLまたはチラシをご覧ください。

・台風19号災害被災地で建物修復ワークショップ開催
http://blog.livedoor.jp/niigata_sumai/archives/52280695.html

第1回 壁土づくり体験で支えあい学び合い「壁落とし&土づくり」

6月13日(土) 10時〜16時 ※部分参加可

第2回 木造建物を身近な手技で甦らせる「小舞いかき&土壁塗り」

6月27日(土) 10時〜16時 ※部分参加可

○第3回も予定

[ 参加について ]

・第1回、第2回ともに長野市長沼支所駐車場集合
・参加費無料
・昼食・飲み物・汗拭きタオルなど持参。汚れてもよい服装で。

[ お申し込み・お問合せ ]

*事前申し込み要
Tel 026-296-3311 (章文館内 穂保被災者支援チーム事務局)
fax 026-251-3901

主催 Hope Apple (穂保被災者支援チーム)
協力 日本財団、建物修復支援ネットワーク

今回ワークショップの現場となる門蔵の一室。かつて養蚕のタネ(卵)屋として栄え、特産のリンゴを生産してきた農家のもので、ここはそのリンゴ蔵。土間には延べ石が枕木状に並べられており、収穫期はリンゴの木箱が山積みされていたという。

修復ワークショップの現場となるお屋敷の外観。右側道路沿い、門蔵(上写真は手前の内部)をくぐると立派な茅葺き(鉄板で覆われている)の母屋があり、その奥に二つの土蔵がある。

ご高齢のご夫婦では直しきれないと解体が決まってしまった伝統的な家屋群。右奥は養蚕を行っていた立派な門土蔵で、手前は家財蔵、左手に長屋のように伸延する土蔵が続く。「多くのボランティアが、泥出し、片付け、清掃、さらに浸水で土がかびる恐れがあるからと、壁の表面の土を落としてくれていた。その努力に報いることができなかったことが悔やまれる」と長谷川さん。

破堤した千曲川堤防に近い伝統的家屋群の被害の様子は、東日本大震災の津波を思い出させる。

激流に洗われながらも、耐え残った土蔵。明治~大正~昭和~平成と度重なる水害を受けながら乗り越えてきたであろう多くの伝統的建造物が、過去最大と呼ばれる水害後、公費による建物解体制度適用により姿を消しつつある。

長野市穂保にある被災した民家の数寄屋風の離れ。土壁が洗われて小舞壁が露わに残った姿が痛々しいものの、再生は可能であると思われる。

参考 千曲川洪水の歴史
https://www.hrr.mlit.go.jp/chikuma/shiru/kouzui/kiou/index.html

写真/長谷川順一

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