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レポート
2021/06/24

「現代建築における土壁」寄稿レポート3
土壁はいまこそ、新しいスタート地点にいる

[ 文・松木憲司(左官・蒼築舎主宰) ]

土壁って、なんだろう?
古い家屋に有る壁? お寺の壁? 今でも作れるの?とか。土壁は大昔にあったものとしか、考えられない時代。
現在、土壁と建築はもう一度やり直して、考え直して進もうと動き出している。

建築家、職人、研究者たちが一堂に会して、左官の課題について話し合ったり、楽しくコミュニケーションをはかる日本左官会議の活動「土と左官と建築の研究会・通称ドサケン」を通して、建築家の浅井裕雄さん、東畑建築事務所の久保久志さんと知り合うことができました。その後も続いている彼らとの協働を報告させていただきます。

浅井さんに誘われ、建築設計案件のお施主様のもとへ。町並みを歩き、目にしたものは朽ち果ててボロボロ土壁の住居でした。しかし、ここから見えた土壁のリカバリー。
溶ける建築として建築を進め、現代土壁の家が竣工しました。
伝統的な左官仕事を体験して頂きたくために、お施主様のご協力のもと、土壁ワークショップを開催、沢山の方々に体験して実感していただきました。

教育環境や市民活動の拠点に土壁を取り入れて提案された、東畑建築事務所 久保さん。
福井県敦賀市角鹿小中学校では地産地消での土壁を提案させて頂き、デザインのテーマとなった気比の松原の砂や各校の校庭内の土を採取して、塗り壁としました。

愛知県長久手市リニモテラスでも、施設前の古戦場公園の地肌にも見える白土と、地元の土建屋さんから提供された長久手土を塗り壁に採用させていただきました。
共に役場関係者や教員、学生さん生徒、市民の方々との体験ワークショップも開催し、有意義な時を刻むことができました。

土壁を取り入れて身体に負担の少ない住宅環境を創ることは、想像以上に期待できると確信しています。
脱炭素社会を目指す現代における土壁は、今までの常識を超えて新しいスタート地点にいます。もっともっと土壁の良さが広まることに期待しております。

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松木憲司 Kenji Matsuki
蒼築舎代表。1963年、両親の出身が関東のため、東京で生まれる。78年、三重県四日市市の親方のもとで修行。年季明け後、独立する。地元の左官職として、竹小舞下地、塗り壁、タイル、組積など施工。
自分自身の想いが、「木と土の家」現代民家と遭遇。将来、解体後も土が廃材とならぬよう、大壁の場合、内外壁の下地材には小幅木摺り板を勧め、施工にあたる。個人住宅の内外装左官工事がもっとも多く、文化財や蔵などの修繕工事、竈の築炉磨き仕上げなども手掛けている。
2007年、プラネットジャパン社の依頼でドイツへ、植田親方と2回にわたりタデラクトの技術を習得。09年、ベトナムにて図書室建設プロジェクトで活動。09、10年、タイにて、タイとラオスにおける伝統的壁画技法の再構築に向けてのネットワークづくり「アジア隣人ネットワーク」で活動。12年、モロッコにてタデラクトの技能及び技術確認をし、土建築を探訪して見聞を広める。また同年、フランス「グランザアトリエ土祭り」へ参加するなど、活動範囲を広げている。
関連ページ:日本左官会議 会員紹介 – 松木憲司

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